
病院ブログ
皆様ノミやダニの予防はしてますでしょうか?
続きましてマダニが媒介する疾患犬バベシア症について紹介します。
当院においてもこの夏バベシア症に罹ったワンちゃんが複数確認されています。
①疾患について
バベシア虫体(Babesia gibsoni,Babesia canis)の赤血球への寄生により溶血性貧血を起こすマダニ媒介性疾患です。猫から検出されるバベシア虫体もありますが、日本での検出例はなく、基本的には犬の感染性疾患です。主に西日本での発生が報告されています。
②感染経路
マダニに媒介されることで感染します(フタトゲチマダニやクリイロコイタマダニ)。これらのマダニの吸血を受けても感染するまで2-3日かかると言われています。
また輸血による伝播や胎盤感染も報告されています。
③症状
主に元気や食欲の低下を主症状とし、感染に伴う発熱、貧血による粘膜・皮膚の蒼白、溶血による血色素尿(濃黄色尿)などもよく認められる症状です。
④診断
血液検査において貧血や血小板の低下・T-bilの上昇、尿検査において血色素尿の確認、画像診断において脾臓腫大などが確認され、確定診断には血液塗抹における虫体の検出やPCR検査が有用となります。
血色素尿
バベシア虫体
⑤治療
ジミナゼンやアトバコンといった抗原虫薬が中心となります。当院ではジミナゼン(ガナゼック:牛バベシア症治療薬)を使用していますが、大きな問題点は薬剤の副作用にあるといわれています。注射部位の疼痛や腎障害、肝障害、小脳出血など重篤なものも報告されています。その副作用は用量依存性といわれており、当院では低用量の隔日3回投与を基本としています。
命に関わるほどの重度貧血を呈する場合には輸血も必要とされています。
また再発率も問題とされており、治療1か月後くらいの再発例が多く、再発率およそ35%といわれています。そのため抗原虫薬による治療後も複数の抗生剤を最低3カ月は使用し寛解維持を目指します。
当院でバベシア症と診断した子はどの子も元気食欲の低下や尿色の変化を主訴に来院され、発熱、重度貧血、血小板低下などを認めました。
対策としてはダニの予防をしっかり行うこと、気になる症状があればすぐに病院を受診しましょう!!